<<「採用基準」/伊賀泰代>>
元マッキンゼーの人事担当者であった伊賀泰代氏の「採用基準」がコンサルタントへの転職準備の示唆に富んでいるので紹介します。
戦略コンサルタントとして求められる資質を確認することで、自分が正しいと考えている自己アピールが誤ったものになることを防ぐことができます。
伊賀泰代氏のプロフィール
著者の伊賀泰代氏は日経の証券会社からMBAを経て、マッキンゼーに入社。約5年間コンサルタントとして勤務後、人事担当者となり12年間の間、採用や人材育成に関わる。
現在は、クックパッドの取締役もされているそうですね。本記事と関係ありませんが、クックパッドは会員費収入も減少を続け、厳しい経営状況が続いていますね。
マッキンゼーの採用基準①
思考力についての誤解
本書籍では、世間一般のマッキンゼーの採用基準に関する誤解を解く形で、伊賀氏が実際に重視していた真の採用基準の説明がなされます。
そのうちの一つが、思考力に関する誤解です。世間では、「マッキンゼーは思考力のある候補者を採用したいと考えている」、と思われているがそれは誤解であると。
実際には、マッキンゼーは思考体力がある人材を採用したいと考えており、思考体力がある人材というのは”常に何かを考え続けている人”である、ということです。
伊賀氏は思考力を、①思考スキル、②思考意欲、③思考体力に分けて整理している。このうち、①思考スキルは後天的に習得可能であり、面接において最重要視する項目ではない。
一方で、②思考意欲や③思考体力は職業訓練で矯正することが難しい要素であるので、選考の際はこれらのポイントを最重要視している、ということです。
マッキンゼーの採用基準②
重要視される自信の要素
一般的に、日本の企業では”謙虚”が美徳とされ、あまり自信満々な候補者は協調性が無い、部下としてうまくワークしないと避けれれる傾向があります。
一方で、マッキンゼーでは、自信に満ち溢れた候補者を高く評価します。自信があるということは、それだけ過去に成功体験を積んできたということであり、候補者の能力の高さを示す証左の一つとなるからです。
自信に満ち溢れており、なおかつ、「嫌なやつ」にならないコミュニケーションスタイルは難しいところなので、普段の業務内のコミュニケーションで練習する必要があります。
マッキンゼーの採用基準③
最も重要なリーダーシップ
本書籍ではリーダーシップにもっとも多くの項を割いています。それは、マッキンゼーがリーダーシップを選考において、最も重要な要素として設定しているからです。
リーダーシップはクライアントの課題を発見し、困難な状況の中で課題解決を遂行するために不可欠です。また、リーダーシップはいわゆるリーダーとされるポジションの人間に求めるのではなく、チームの各メンバーに求められる要素でもあります。
伊賀氏はリーダーシップを4つのステップに分類しています。
<<リーダーシップの4ステップ>>
①目標を掲げる、②先頭を走る、③決める、④伝える
この4ステップはそっくりそのまま、転職活動でリーダーシップエピソードを整理するフレームとして利用することが可能です。
例えば「現職でチームでこなんな状況を打破した経験を教えてください」という質問に対して、回答するとします。
ここでは、「所属する事業のターンアラウンドのために人事部と交渉してある施策を実行した」
①目標を目標を掲げる
⇒「XXXが事業において最も重要な課題であると考え、XXXを解消して○○○の状態とすることを目標に設定しました。」
②先頭を走る
⇒「課題であるXXXを解消するためには、人事部と交渉する必要がありましたが、その役をかってでました。」
③決める
⇒「人事部から協力の条件として、XXXを求められました。XXXに関しては、○○○というネガティブな要素がありましたが、そのリスクを取ってもリターンのほうが大きくなるため意思決定を行いました」
④伝える
⇒「一部チームメンバーからは意思決定に関して疑問を呈されましたが、1対1で密に話し込むことで次第に協力してくれるようになりました」
このように、話すべきポイントをリーダーシップ発揮のステップに沿って整理します。
このように、経験を問われるビヘイビアー面接では、フレームに沿って、自分がアピールすべきことをまとめておく必要があります。
⇒ビヘイビアー面接に関しては、他ページでまとめていますので参考にしていください。
以上が、伊賀泰代氏の「採用基準」の内容です。コンサルタントとして求められる資質を理解するのに良い書籍ですので、コンサルタント転職前に一読すると良いと思います。
<<「採用基準」/伊賀泰代>>
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