コンサルタント出身者が事業会社で嫌われる3つの理由

先日、勢いのあるメガベンチャーで働く友人が「会社が成長して採用力が増した最近、戦略コンサルタントが転職してきて、ワークしないケースが増えている」という話をしていました。

また、別のベンチャー企業でCxOとして働く友人は、大手戦略ファーム出身の経企部長の働きぶりに不満がある様でした。

戦略コンサルタントが事業会社に転職して、良くない評価をされるケースはそれなりに良く聞く話です。

特に、一緒に仕事をする上司や経営陣からではなく、現場で一緒に仕事をする横や下のメンバーから嫌われるケースが多くあります

私自身は、事業会社のWeb系の事業部門から経営コンサルタントになりましたし、新卒で入った事業会社には有名な戦略コンサルティングファームからの転職者が多くいました。

したがって、戦略コンサルタントがなぜ、事業会社で嫌われるのか?を肌感覚を持って、理解することができます。

実際、私も事業会社にいるときに、戦略ファーム出身が上司になったことが複数回ありましたが、いづれの場合も上司としてあまり尊敬していませんでしたし、仕事ができる人だとは思っていませんでした

そこで今回は、私が考えるコンサルタント出身者が事業会社で嫌われる理由を挙げようと思います。

①”論理的な正しさ”を追求しすぎて、もっと大事なものを見落とす

コンサルタント出身者が事業会社に移って、ワークしない、嫌われる一番の原因はコンサルティング時代に染み付いた”論理的に正しく”考えて、行動する癖が事業会社でのスムーズな業務を妨げるからだと思います。

これは論理的に考えて行動すること自体が悪いのではなく、「事業において他にもっと大事なことが色々あるのにそれを無視して論理的な正しさのみを追求する姿勢がおかしい」、ということです。

その大事なことというのは、共感や仕事の楽しさなど、人間の感情的な部分であり、社員が会社に毎朝行ったり、ビジネスを行う動機に関する部分です。

例えば、ただ少し自分の大変さを分かってもらいたくて相談しただけの部下を論破してしまったり、マイクロマネジメントや論理的妥当性のある施策のみを実施するマネジメントをしてしまい全く仕事が楽しくない職場を作り上げてしまったりします。

ある程度の論理性が担保されている組織であれば、楽しい雰囲気や創造的な雰囲気を重視すべきだと思います。

その様な組織でないと、新しいものを創造したり、優秀な人材を惹きつけることは難しいからです。

特に、事業会社で成果を出す人材は、コンサルティングファームで評価される人材とは異なるタイプであることが多くあります。

その様な成果を出す人材を惹きつけ、やる気にさせて、仕事をしてもらうためには、かくかくしかじかした論理的なコミュニケーションはそこまで役に立ちません。

それよりもいかにワクワクした雰囲気を醸し出すかの方が重要でしょう。

若手のうちにコンサルティングファームを離れた人ならアンラーニングしやすいと思いますが、マネージャー以上であればアンラーニングもなかなか難しいのではないでしょうか。

②クライアントワークの癖が抜けず、上意下達な御用聞きに

「コンサルタントたるもの経営者の耳が痛いことも言うべきである」とは言うものの、実際は経営者やクライアントの言ってほしいことを言う癖がついているコンサルタントも多くいると思います。

また、コンサルタントのゴールは”クライアントの高い満足度”ですから、クライアント(経営者)が何を考えているのかを必死に感じ取り、追従する癖をコンサルタントは自然に身に着けていきます。

この習性が事業会社で、現場メンバーから嫌われる一因になります。

事業会社の現場メンバーから見ると、上司(経営者)におもねっている様に見えるのです。

コンサルタントは数か月の契約で嫌われると切られて、お呼びがかからなくなるので、相手が何を考えているかを考え、失敗しないことが重要です。

一方で、事業会社は終身雇用で、上司に反発しても首は切られないし、より長い期間の業務の成果で挽回することができます。

したがって、その会社のカルチャーにもよりますが、事業会社のメンバー(特にエース級の人材)ほど、上司や経営者の意見に気軽に意を発します

このようなビジネスパーソンから見て、経営者の考えていることを実現しようとするコンサルタント出身者は経営者に付和雷同するだけの人材に映ってしまいます。

事業会社で優秀な人材が、どのようなことを考え、上司や経営者とどのようなコミュニケーションを取っているかをよく観察してみると良いと思います。

③ユーザー/エンドユーザーに対する想像力の欠如

コンサルタントが事業センスを身に着ける際に一番の障害になるのが、「PDCA」を回せないという点です。

例えば、コンサルタントが新規事業に関わったとして、その事業に関わるは通常は戦略検討の3か月だけです。

実際に事業を立ち上げる際に何が障害になったのか?、事業を立ち上げた後、ユーザーはどのように反応したのか?、それは、なぜなのか?、どうすれば、仮説の誤りを正して、アジャストした事業にできるのか?

これら、事業センスを身に着ける上で、最も重要なPDCAのDCAのフェーズをコンサルタントは経験できません

(もちろん、最近は常駐で新規事業の立ち上げ支援を行うファームもあるようですが)

この実際の事業経験の無さが、コンサルタントのエンドユーザーへの理解の薄さにつながり、現場メンバーとの温度感の差を生みます。

もちろん、実際にエンドユーザーに向けて、施策を考えて、実行してみる等、事業経験を積んでいくことでカバーすることはできます。

しかし、コンサルティングファームからの転職であれば、マネージャーなどの高い職位で転職することが多く、事業感覚のキャッチアップ、チューニングに苦労している人が多い印象です。

その様な方は、事業経験が積みたい、現場感覚を身に着けたいと説明して、現場タスクを実際にやらせてもらうのも有用だと思います。

あくまで、本人が可愛げのあるキャラであることが前提ですが、現場メンバーからしても勉強熱心で好ましい同僚に映るはずです。


以上、コンサルタントから事業会社への転職時に留意すべき点を述べました。

感想やご相談があれば、気軽にお問い合わせから連絡ください。

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