【ケース過去問】東京-大阪間のLCC事業への参入是非は?

今日は、過去のコンサルティングファームの選考を受けたときに、実際に出題されたケースを紹介しようと思います。

また、併せて、どのように回答したか、と面接官の反応も記載します。

私の回答は模範解答ではなく、参考程度に読み、自分で考えてみてください。

前提

  • 総合系ファーム戦略部門の3次面接
  • 面接官はディレクター
  • ケース課題の説明後、10分程度の準備時間あり(面接官退席せず)

ケース課題

今回のケースは珍しく、ストーリーがしっかりした内容でした。(回答にあまり関係ありませんが)

以下が、ケース課題です。

前提

  • あなたはコンサルタントとして働いています。
  • ある日、知り合いのローコストキャリア(LCC)の経営企画室の部長さんから電話がかかってきました。
  • 部長さん「突然ですが、東京-大阪間の航路が売りに出されることになり、弊社で参入を検討することになりました。」
  • 部長さん「10分後に本件に関して、経営会議が開かれるので、初期的なもので構わないのでアドバイスを頂けないでしょうか?」

課題

上記前提をもとに、10分間で以下に回答してください。

  1. 本件に関する市場規模を算出してください
  2. 東京-大阪間のLCC事業に参入すべきかどうかの初期的な見解を聞かせてください

回答した内容

市場規模の算出

まず、市場規模には①需要(LCCの利用者等)から計算するやり方と、②供給(フライト数等)から計算するやり方があります。

今回の場合、どちらで計算するほうが得策でしょうか?

まず、需要側で計算するとします。その場合、東京-大阪間のLCCの利用者とは誰でしょう?おそらく、ビジネスパーソン、及び観光客、帰省する人がメインでしょう。さらに、観光客の中には、日本人もいれば、海外から日本に観光に来て、東京-大阪間を移動する人もいると思います。

これらを正確に見積もるのはなかなか難しい感じがしますね。例えば、ビジネスパーソンのうち、東京-大阪間の出張がある人の割合など、ロジックが作りづらそうです。

そこで、②供給側から計算してみます

まず、LCCに限らず、東京-大阪間の飛行機移動の市場規模は、飛行機の便数から計算することができます。そして、飛行機の便数は滑走路、もしくは航空会社数から推察できます。したがって、今回は②供給側から計算するのが良さそうです。

また、この課題では、LCCに関する市場規模となっていますが、LCCの市場規模というのは、東京-大阪間の移動に関する市場規模になります。

なぜなら、新幹線で移動する人やバスで移動する人も、LCCが参入すればLCCを利用する可能性があるからです。したがって、飛行機に限らず、新幹線、バスなど、他の交通手段も計算する必要があります。

以上のことから、東京-大阪間の市場規模は以下になります。

市場規模=東京大阪間の(飛行機の市場規模+新幹線の市場規模+高速バスの市場規模)

飛行機の市場規模=航空会社数(JALとANAの2社)×稼働時間(6時から19時まで)×運転間隔(1時間に1本)×定員数×稼働率×フライト価格

新幹線の市場規模=稼働時間(6時から24時)×運転間隔(10分に1本)×車両数(16両)×席数/車両(5列×20行)×稼働率×料金

バスの市場規模=バス会社数(10社くらい?)×1日の便数(昼1・晩2の3車)×定員数×乗車率×料金

以上を計算して、東京-大阪間のLCCに関する市場規模を算出します。

面接官の配慮で実際の面接では、数式だけ提示すれば計算はしなくてもOKとしてくれました。

LCC事業の参入の是非

次に、LCC事業に参入すべきかどうかの議論です。

この課題に対しては、以下のロジックで回答しました。

検討すべき要素

・LCC事業に参入した場合の事業売上は、市場規模×シェアである。

・市場規模に関しては、先ほど算出したので、次に、どれくらいのシェアを見込めるかを検討する必要がある 。シェアは競合との優位性で決まる

競合との優位性の検討

・競合は、先ほどの市場規模算出の通り、ナショナルフラッグ(JALとANA)、新幹線、高速バスである

・顧客(ビジネスパーソン、観光客)にとってのメリットである、低価格、快適性、利便性あたりが競合優位性となりうる。

・上記のうち、LCCで訴求できるのは、低価格のみである。

・したがって、LCC事業に参入した場合に、競合優位性のあるレベルでの低価格での運航ができるかどうかが、本検討の論点である。

低価格実現の可能性

・LCCが低価格で運航を行えるのは、ぎりぎり採算の取れる東京-地方間や地方-海外都市の航路の権利を安価に取得することによる

・東京-大阪間は空港利用において、一番のドル箱。この需要が多い(そして、買いたいと思う人も多い)路線の航路を安価に取得することができるか?

答えは否だと思います。

以上をまとめると、

【結論】東京-大阪間のLCC参入の成功は難しい

【理由①】東京-大阪間のLCCを低価格で運航することは難しい

【理由②】大阪-東京間はドル箱路線で低コストでの就航獲得は難しい

【理由③】また、低価格以外で新幹線やナショナルフラッグとLCCが対抗するのは難しい


以上、実際にあったケース問題についてでした。

面接官の方からのFBに関しては、上記に記載した内容で問題ないとのことでした。

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