ベイン(Bain&Company)の中途採用面接について記載します。
Bain&Companyについて
Bainはマッキンゼー、BCGと並ぶ戦略コンサルティングファームで、ボストンコンサルティンググループに勤務していたビル・ベインが独立することで誕生しました
案件について
マッキンゼーやBCGに比べて比較的小規模で、近年のコンサルティングファームでよく見られるデジタルシフトや現場オペレーションへの入りこみなどは注力していません
案件としては、ファンドのデューデリジェンス案件が多い印象を受けます
DD案件は短期間で会社やビジネスモデルの見極め力が身につくので、そのような志向性のある方にお勧めです
また、将来的にファンドや事業会社のMA部隊への転職に興味のある方にもおすすめです
一方で、デジタルであったり、新規事業系にはそこまで力を入れていない印象なので、アントレプレナーシップのある人にはあまり向かない印象です
実際に、マッキンゼーやBCGと比較して、ベイン出身の起業家は極端に少ない印象があります
Up or Out
ベインは比較的、厳密にUp or Outのルールが運用されているファームの様に見受けられます
例えば、コンサルタントで入社した場合は、2年でマネージャーに昇格しなければ基本的には辞めることになります
一方で、ネームバリューのあるファームなので、辞めることになってもセカンドキャリアでも様々な機会にチャレンジすることができます
ベインの中途採用面接プロセス
ベインの中途採用プロセスは、以下になります。
特徴としては、テストが筆記でオフィスに受験しなければならないことと、1~3次面接はそれぞれ2人の面接官との面接となります。
中途採用面接のプロセス
- アプライ(レジュメの提出)
- 筆記テストの受験
- 1次面接(2名)→2次面接 (2名) →3次面接 (2名)
ベインの筆記テスト
ベインの選考は筆記テストに特徴があります。
まず、Webテストではなく、実際にベインのオフィス(六本木ミッドタウン)に行き、筆記テストを受ける必要があります。
受験できるのは毎週水曜日のみ開催され、時間は夜19時くらいからだったと思います。
試験内容の3分の1は日本語訳されたGMATのクリティカルリーズニングですが、慣れていないとかなり難しく感じます。
ベインのテスト対策に関しては、以下の記事も参考にしてください。
ベインの面接
面接官からのフィードバック
ベインの面接は2名の面接官との面接が1つのセットになっています。
面接官2名による面接が1セットになっていることには意味があります。
ベインの面接では、面接後に面接官からケースに関するフィードバックを得ることができます(求めなくても面接官から”僭越ながら”という形で、アドバイスをしてくれます)
このフィードバックは単に親切心からアドバイスを送っているのではありません。候補者のフィードバックは次の面接官にも共有されます。そして、次の面接官は候補者がフィードバックを即座に反映することができるのかをチェックするのです。
したがって、1人目の面接官から共有されたフィードバックは2次面接で必ず意識する必要があります。
これは、戦略コンサルタントは非常に短い期間での業務のキャッチアップとプロモーションを要求される仕事であるからです。
短い期間でプロモーションするためには、業務中に得たフィードバックを即座に反映し、修正していく必要があります。面接ではその観点で、候補者のフィードバックの反映力が問われます。
フィードバックを反映することは簡単そうに思えますが、時間が短く、圧があるベインの面接で落ち着いて面接をすることはなかなか難しいと思います。
ケース面接の練習をしっかり行い、慣れておくことが重要です。
面接時間とビヘイビアー
面接時間は1次の各25分×2から、2次、3次面接と少しづつ長くなります。
それに伴って、1次面接はほぼケース面接のみですが、2次面接以降はビヘイビアー系の質問も多くなってきます。
ビヘイビアー面接に関しては、こちらの記事をご参考に。
また、最終面接のうち片方は基本的に英語で行われます。ただし、最近は最終面接も日本語で行われ、英語の試験を全く受けずに内定が出る方もいるそうです。
ベインのケース面接について
ケースのお題について
ベインのケース面接は基本的に、紙の資料を使うものではなく、面接官から口頭で伝えられます。ベインの面接時間は非常にタイトなので、面接官は事前にケース面接のお題を考えてきています。
ケース面接のお題は、過去のベインで実際にあったケースを模したものが多いようです。
具体的なテーマとしては、フェルミ推定+成長戦略、コストカットに関する検討、事業買収に関するケースなどでしょうか。
例えば、以下の様なお題です。
- 1000円カットを行う事業者の売り上げを推定し、利益成長のための施策を検討してください
- ある化学製品メーカーからコスト削減の検討を依頼されました。どのような手順で検討しますか?
- クライアントのファンドから、掃除代行会社の買収是非の検討を依頼されました。市場規模を算出して、買収の是非を検討してください
ベインのケース面接の特徴について
ベインのケース面接の特徴は大きく3つあります。
- ケース応答のスピード感が早い
- トラディショナルなスキルへの忠実性
- 面接官からのフィードバックの反映が必要
①ケースの応答のスピード感
ベインのケース面接は非常にスピード感が速いので、ある程度ケース面接に慣れていないと落ち着いて行うの難しく感じます。
ベインのケース面接も最初にお題について一人で考える時間が5分程度与えられますが、単純なフェルミ推定以外はケースに精通した人でも与えられたお題すべてを5分で考えきるのは難しいです。
必然的に面接官とディスカッションをしながら考える必要が出るのでスピード感が早く感じます。
また、ベインの面接官はこちらの発言に対して、瞬間的に反応し、質問を返してきます。あまりに早いのでおそらくその場で考えているのではなく、経験的に反応しているのだと思います。
おそらく、面接官はそれぞれの十八番のケースお題があり、面接官を担当する際は毎度それを出題するのだと思います。
面接官がそのお題に慣れているので、非常に鋭い質問が瞬時に飛んできます。これが、ベインのケースがスピード早く感じる理由だと思います。
対策としては、ケース面接で求められていることを理解したうえでしっかり練習することが重要です。面接官のスピーディなレスポンスの圧に負けずにディスカッションするにはケースへの習熟が必要です。
これからケース面接対策を進める方はこちらを参考にしてください。
②トラディショナルなスキルへの忠実性
ベインの面接では前述した様に面接官からフィードバックがもらえます。このフィードバックはトラディショナルなケース面接のスキルを意識したものが多いです。
したがって、ベインのケース面接の対策をするときは、トラディショナルなケース面接のスキルを意識した方が良いです。
トラディショナルなケース面接というのは、ファクトベースでロジックドリブンな分析を行い、統合的なコミュニケーションで分かりやすくプレゼンテーションする、というものです。
このトラディショナルなケース面接(コンサルティング)のスキルというのは、ビクターチェンのケース面接対策の書籍を読むのがニュアンスが一番分りやすいと思います。
ベインのケース面接を受ける前は、必ずビクターチェンのケース面接対策の本を読むと良いです。面接官のフィードバックをすぐに咀嚼し、腹落ちさせることができます。
③面接官からのフィードバック
前述した様に、ベインのケース面接は面接後にフィードバックがもらえ、さらに、2回目のケース面接ではその反映が求められます。
2人目の面接官は1人目の面接官からどのような内容をフィードバックしたかを共有されています。したがって、2人目の面接官は必ずそのポイントをチェックしにきます。
このフィードバックの反映ができているとポイントが高くなりますし、1回目と同様で改善されていないと印象がかなり悪くなります。
2回目の面接では、1回目の面接でのフィードバックの反映に集中しましょう。
面接官から質問された場合は、その質問の意図を見抜きましょう。もしかしたら、1回目のフィードバックへの適応をチェックしているかもしれません。
以上、ベインの中途採用面接に関してでした。
他ファームに関する情報は以下を参考にしてください。
ベイン&カンパニーのケース問題を練習する
レベルの高いベインのケース面接をクリアするには、できるだけ実際に出題される問題で繰り返し練習することが重要です。
以下の記事に、ベインのケース面接対策の進め方をまとめました。
ベインのケース面接は特定のパターンのものが多いため、過去問である程度練習しておくことが有効です。
また、ベインは面接官が自分の使い慣れたケース問題を何度も使いまわす傾向にあります。
したがって、過去問と同じ問題がそのまま出題されることもあり、過去問を練習しておくことで非常に有利に選考を進めることができるようになります。
以下のサイトに、ベインで実際に出題された過去問を紹介しています。
ベインを受験する人は必ず確認するようにしてください。
ベイン以外の戦略ファーム(マッキンゼー、BCG等)の過去問題集のセットはこちらで紹介しています。
こちらはセットでお得な内容になっていますので、お勧めです。
ベインの中途採用 面接会場
ベインの中途採用は全て、六本木ミッドタウンのベインオフィスで行われます。
ベインはテストに関しても、Webではなくこちらのオフィスで筆記試験を受ける必要があります。
ベインのオフィスがあるミッドタウン・タワーは、リッツカールトン東京の隣のビルで奇麗で先進的なオフィスです。
六本木、乃木坂駅から徒歩で向かえますが、駅からは少し離れているので時間に余裕を持って行動しましょう。
面接前に休めるカフェ
面接に時間ちょうどに向かうとギリギリになってしまったり、中途半端な時間をオフィス前で待つことになるため、余裕を持って現地に到着し、カフェで休んでおくことをお勧めします。
ベインのオフィスがあるミッドタウン・タワーに直結したミッドタウン地下にスターバックスがあります。
面接前は早めに現地に到着して、こちらのカフェでのんびりリフレッシュすることをお勧めします。
(参考)ベインを知る
最後にBain&Companyを理解するための情報についてです。
転職面接では、その企業に対する一定以上の愛(興味や志望度)を示す必要があります。これは、いくらコンサルティングファームの面接でケース面接が重要だからと言って、蔑ろにできるものではありません。
やはり、その企業で働くことに対する熱意、期待、ワクワク感を持っていることを示す必要があります。
そのために、最も有効な方法の一つはその企業のことを調べられる限り、調べてきている、ということです。
これをやっておくと、コンサルティングファームで働くことのイメージも沸きますし、逆質問で聞きたいこともたくさん出てきまので、面接官との会話も盛り上がります。
さらに、下で挙げる方法は、コンサルティングファームの質の高いアウトプットを吸収することになるので、ビジネスの教養が身につきます。
必ず実践して頂ければと思います。
方法①:転職エージェントに連絡する
コンサルティングファームの転職支援に長けた転職エージェントは各ファームの最新の情報、動向を把握しています。
こちらについては、別の記事で転職エージェントの活用方法やお勧めのエージェントのリストを公開しているので詳細は触れません。
以下の記事を参照頂ければと思います。
ポイントは、様々なエージェントとコンタクトを取り、良いエージェントを探す努力をする、という点です。コンサルティングファームへの転職動向に詳しいエージェントは必ず見つかります。
方法②:書籍を読む
国内外問わず、Bain&Companyは多数の書籍を出版しています。これら書籍を読むのは、Bain&Companyを知る、コンサルティングファームの仕事内容を知る、ビジネスの教養を深める上で非常に重要です。
海外の書籍だと、Bain&Companyの東京支社とは関係性が薄いので、ベインの東京支社が出版している書籍を読めばよいと思います。
特に、お勧めは、以下のものになります
企業価値4倍のマネジメント
こちらの書籍は、現アドバイザリーパートナーの火浦俊彦氏が会長時代に中心となって書かれた本で、BainがCxOアジェンダに対して、どのように論点設計をして、課題発見と解決に導くかのノウハウが惜しみなく書かれています。
企業の経営企画部に属する筋の良い人であれば、これを参考にするだけで、一定以上の成果を出せるのではと思うほど、内容は濃くかつ体系的です。
私自身、業務で参考にしたことが何度もある、かなりの良書だと思います。
ベインへの転職関係なく、企業のハイレベルアジェンダに興味のある方は是非、読んでみてもらいたいです
日本企業復活の戦略
上述した『企業価値4倍の戦略』の続編として2020年に刊行された書籍で、日本企業の復活のための5つの論点が解説されています。
コンサルティング業務の中で、グローバル市場の中で国内企業がどのようにプレゼンスを発揮していくかは常に中心的な論点として存在します。
こちらの書籍では、コスト競争力の向上、M&Aや事業売却などの企業再編論、顧客体験の改善、ガバナンス、投資家の活用について記載されています。
顧客体験改善の章で出てくるNet Promoter Score(NPS)はBainが開発した顧客満足度向上の手法で、非常に有名です。ホテルや航空、飲食店などで、「知り合いにこのサービスを紹介したいと思いますか?10段階で評価してください」というアンケートを見たかと思いますが、それがこのNPSです。
方法③:レポートを読む
こちらも、ベインが発信しているインプットを活用する方法ですが、コンサルティングファームが発行しているレポートは自社の宣伝のためにやっているので、無料で読むことができます。
無料ですが、コンサルティングファームが自社はこんなに最先端のテーマに対して、知見がある、調査していると言いたい為のものなので、非常に勉強になる内容になっています。
昔は、PDFのレポートの配布が中心だったのですが、昨今はコロナの影響もあり、Webinerも公開されるようになりました。
以上、Bain&Companyの中途転職・採用情報でした。
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